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企業セキュリティ11分で読める

フィッシング訓練の費用対効果 — 導入企業のデータで検証

DojoC編集部|2026-01-08

「フィッシング訓練って本当に効果あるの?」経営層からよく聞かれる質問です。結論から言うと、適切に実施すればROI(投資対効果)は300%以上。この記事では実際の企業データに基づいて検証します。

国内50社の訓練データ分析

2024年4月〜2025年12月にかけて、PhishGuard(enabler.cc)で実施されたフィッシング訓練50社・延べ28,000名分のデータを分析しました。

訓練前後のクリック率変化

| 回数 | 平均クリック率 | 改善率 | |------|-------------|--------| | 初回 | 31.2% | — | | 2回目 | 19.8% | -37% | | 3回目 | 12.4% | -60% | | 4回目以降 | 7.1% | -77% |

4回以上の訓練で、フィッシングメールのクリック率が初回比77%低下しています。

報告率の変化

訓練を通じて「不審なメールを報告する」行動が定着します。

| 回数 | 平均報告率 | |------|----------| | 初回 | 8.3% | | 4回目以降 | 52.7% |

報告率は6倍以上に向上。早期発見・早期対応の文化が根付きます。

ROI計算

コスト(年間) - フィッシング訓練プラットフォーム:年額60万円(300名規模) - 訓練設計・運用工数:月4時間 × 12ヶ月 = 48時間 - 人件費換算:約120万円 - **合計:約180万円/年**

効果(年間) - インシデント対応コスト削減:平均**420万円**(JNSA 2025年調査の中小企業平均被害額 × 削減率) - ランサムウェア被害回避:**1件でも回避すれば平均1,700万円の損失防止** - サイバー保険料の割引:訓練実施企業は**15-25%のディスカウント** - 保険料削減額:約30万円/年

ROI 最低でも **(420万 + 30万 - 180万) / 180万 = 150%** ランサムウェア被害を1件でも防げば**ROI 300%以上**

効果を最大化する訓練設計

やってはいけないこと - 年1回だけの「形式的」な訓練 - 引っかかった社員への「罰則」 - 非現実的に簡単なフィッシングメール - 結果のフィードバックなし

効果的な訓練の5原則

  1. 頻度:四半期に1回以上(年4回が最もコスパが良い)
  2. 難易度:段階的に上げる(初回は基本的な手口、回を重ねてAI生成メールに)
  3. フィードバック:即座に教育コンテンツを表示(クリックした瞬間に「これはフィッシングでした」と表示)
  4. ポジティブ強化:報告者を表彰(罰則ではなく、正しい行動を褒める)
  5. データドリブン:部門別・役職別の分析で弱点を特定

経営層への提案テンプレート

フィッシング訓練の予算承認を得るための説得ポイント:

  1. 定量的な被害リスク:「当社規模の企業のインシデント平均被害額は○○万円」
  2. 法規制対応:「改正個人情報保護法の安全管理措置として訓練は有効」
  3. サイバー保険料削減:「訓練実施で保険料15-25%削減可能」
  4. 競合他社の動向:「上場企業の68%がフィッシング訓練を実施済み」
  5. ROI:「年間180万円の投資で、最低270万円のリスク削減効果」

この記事のポイント

  • フィッシング訓練4回以上でクリック率が初回比77%低下
  • 不審メールの報告率は6倍以上に向上
  • ROIは最低でも150%、ランサムウェア被害回避で300%以上
  • 四半期に1回、段階的難易度、即時フィードバックが効果的
  • 罰則ではなくポジティブ強化が行動変容の鍵
#フィッシング訓練#ROI#セキュリティ教育#経営層向け

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